マリアの死


マリアはあまりに突然に天国へ行ってしまいました

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動物病院からの電話

そして 水曜日
今日は面会に行こうと決めていた。

今日は2日。
3月に亡くなった父親の月命日の日
朝、いやな予感がした。

会社へ行き、8時20分、携帯がなった。
見ると、〇〇動物病院
「あぁ、ついに来たか」と思った。

「マリアちゃんの容態が急変したので、すぐに来て下さい。」
「どのくらいで来れますか」
「30分くらい」と返事をした。

仕事なんてどうでもいい。
会社の同僚が、「大丈夫?」と気遣ってくれた。
全然、大丈夫ではなかったが、車でふっとばして動物病院へ向かった。

動物病院へ着くと、一刻も早くマリアに会いたい私に
「ちょっと、待って下さい」と言う。

4,5分待たされた後、「どうぞ」と言われ中に入っていくと
口の中に管を通されたマリアの胸を男の先生が小刻みに押していた。
画面にほとんど直線の波線のようなものが映っていた。

「マリア、マリア」とマリアのあごをなぜながら、私は言った。
マリアの体はまだ、暖かかった。

波線のモニターを見ながら、
「心臓を動かす錠剤を飲ませたけど、動いたのは薬のせいでその時だけ」
と先生は言った。

もういいと思った。

「もう死んでる?」と私が言うと、あまりにもすぐに先生は手を動かすのをやめた。

先生は「マリアちゃんも元気になって、家に帰ってもらいたかったんですが」と言う。

朝来たら、マリアはもうろうとしていたという。

ただ一つの救いは、夜中に誰もいない時に死んだのではなく、
スタッフの方たちが来てから、手当をされてから、亡くなったということだけだ。
朝来たら、死んでいたというのでは、あまりに寂しい。

しかし、私が到着してから待たされた4,5分の間は何だったんだろう。

おそらく先生はマリアのそばで、ずっと手を動かしていたのではなく、
一時はもうだめだとあきらめて、他のことをしていて、
私が来たので、大急ぎでマリアの所に戻ったという気がしてならない。

死んでしまっているのに、救命措置をしても意味がないのに
飼い主の前で一生懸命やっていますということを見せるために、
そんなことしなくてもいいのにと思った。

マリアの顔を見るのが怖くて、水曜日位なら、少しはよくなっているかなと思い、ちょうど、今日は面会に行こうと思っていた日に電話をもらってしまった。

先生がマリアの体につけられている管をはずして帰る準備をしている間、待合室で涙があふれた。

ペットを連れて待っている人達もいずれはこんな現実がくることをわかっているのだろうかと見まわしてしまった。

名前を呼ばれて、診察室に入っていくと、入院する時に持ってきたケージにマリアが横になっていた。 涙がでて、何も言うことができない。
マリアの顔の前に、パンジーの花が二つ置かれていた。
やっとのことで、先生に「ありがとうございました」と一言言って、病院を出てきた。

  家にマリアを連れて帰り、隣の嫁さんにマリアが亡くなったことを、涙ながらに報告した。

こんな時でも仕事に行かなければならない。もし、このままいかなかったら猫のことなんかでと言われるかもしれない。

あまりにも突然のマリアの死に、会社で机に向かっても、涙でうるうるしながら、人の話もどうでもよく、ボーっとしていた。
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